本日オススメの本をご紹介いただくのは
布花標本作家のutopianoさん。
utopianoさんの手から紡ぎ出されるお花たちは
本当に長い時間箱の中に仕舞われてきたかのような
「標本」という言葉がぴったりな雰囲気。
シン、とした空気を一緒にまとっているのです。
utopianoさんは本日より”ヤドリギのブローチ”のオーダーを開始されています。
(※現在受付を締め切られています)
今年のヤドリギの実は天然石で表しているそうです。
空気が澄んでいくこれからの季節に
ヤドリギのもつキラキラした実がとても綺麗で
これをなんとか保存できないかと思ったことがある方も多い筈。
是非胸元に、お迎えください。
(詳細はリンク先・utopianoさんのHPをご覧ください。)
ご自身もこの花たちを作り出すのが
納得のウィットに富んだとっても素敵な方。
頭の中の抽斗がたくさんあるような方ですので
自分自身、utopianoさんがどのような本を読んでいるのか
どの抽斗を開けてくださるのか
オススメを聞くのが楽しみなのです。
utopianoさんによる美しい説明と画像も必見です。
是非ご覧ください。
『灯台守の話』白水社 2007
ジャネット・ウィンターソン・著/岸本佐和子・訳
お話して、ピュー。 どんな話だね? 何度でも最初から始まるお話。 それはつまり人生の物語だ。 でも、それってあたしの人生の物語なの? お前さんが語りさえすればな。荒涼としたスコットランド北西の崖ケープ・ラスと寂れた港町ソルツ…盲目の灯台守ピューに引き取られ、灯台守見習いとして「光の世話をする」こと「物語を語る」ことを修行する少女シルバー。
100年前のソルツに生きた牧師ダークの数奇な物語と、シルバーの自身の物語が響き合うように語られていく。
「物語を語ることで人は救われる」…全編をつらぬく灯台の光のようなテーマと、波のように重層的にうち寄せる物語。
昔からなぜだか灯台で暮らしてみたい、と思っていました。
そのせいかピューとシルバーの灯台暮しの描写につよく惹かれます。
部屋を暗くして蠟燭の灯りで繰り返し読みました。
読んでいる間ずっと海の気配…潮の匂いを感じるような一冊です。
余談ですが、私が今回ご紹介するレイ・ブラッドベリの小説にも「ダーク」とよばれる人物が登場するのでした。
--------------------------------------(文・画 utopiano )
utopianoさんは、今回もう1冊本を紹介してくださいます。
そちらもお楽しみになさっていてくださいね。