APT # 207 おうちにこもるweek企画
「冬に読みたいオススメの本」
2015.11.13 fri
No.11
十一月の扉 / 高楼方子
recommender : utopiano (布花標本)
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『十一月の扉』高楼方子・著 リブリオ出版 1999年発行
十一月荘と名付けられた旧い洋館に、クリスマスまでの短い間下宿することになった主人公。
彼女の内に秘めた物語の「扉」を開く装置は十一月荘という場所と、文房具ラピスで手に入れたノートでした…
私がこの本に出会ったのは十分すぎるくらい大人になってからのことですが、
こどもの頃の私はいつも十一月荘のような場所を探していた気がします。
実際に見つけることは叶わなかったけれど、長い間ずっと本がその「扉」のかわりだったように思います。
「何かをきっかけにして共に住むことになる」(血縁や結婚という理由ではなく)というストーリーに昔から惹かれます。
ドラマだったら木皿泉さん脚本の『すいか』…昔なら下宿、今ならシェアハウスといったところでしょうか。
それぞれの「扉」を持ちながら、同じ屋根の下でテーブルを囲む暮らし…
出会った人々を通じて、母親(距離を置いた家族)を理解し、拡げた空想の世界からゆるやかに現実へと着地する主人公。
大人になる前の、一瞬のうつくしい日々が描かれています。
冬への入り口、空気が冷たく澄んでくる頃になると繰り返し手にする1冊です。
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recommender profile
布花標本 utopiano
植物を観察し型紙をおこし
ひとつひとつ手で染めて形を作り上げていく"布花標本"。
基本はただ眺めるための布の花、を作っています。
引き出しの奥から時々そっと取り出して
傍に置く
あたたかい1杯のお茶のようなそんなお花たち。
これらのひと枝が
だれかのこころにひっかかって
あなたの世界に迎えていただけたら
こんなにうれしいことはありません。
next info.
utopianoさんの個展が11月18日より
奈良のbolik coffeeさんで開催されます。
お近くの方、是非足を運んでみてください。
utopiano FABRIC FLOWERS Next Exhibition
GIFT -ひと枝の贈り物-
2015.11.18-12.06 (月・火定休)
11:00-19:00
at bolik coffee (奈良市西新屋町40-1)
DMも少しご用意しております。こちらからも素晴らしい展示であることが伝わってきます。
11/1に開催されたutopianoさんのWS『秋色紫陽花』。
ちなみに左上は本物の秋色紫陽花です。