APT # 207 おうちにこもるweek企画
「冬に読みたいオススメの本」
2015.11.18
No.16
神様 / 川上弘美
recommender : APT # 207
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
本の趣味が合うお客様から最近お借りした本で
川上弘美さんは大好きな作家さんなのだけれども、この本は読んだことがなく
川上さんの本は読みつくした、くらいの気分でいた自分を久々にとってもわくわくさせてくれた本。
不思議な世界や生き物を、当たり前に受け入れてたんたんと流してしまう川上弘美ワールドの
大好きなところど真ん中がぎゅっと濃縮された1冊で
一気に大好きな本の仲間入りをしたのでした。
短編集で実際は四季折々の話が書かれているのだけれども
川上さんの"うららでせつない"文字たちは
夏が終わって秋から冬へ向かう話たちが引き立ちます。
体とこころがズレていく気がするわたしと、秋になれば消える不思議な白い生き物との短い生活を描いた ”夏休み”。
秋の野原にたまに出る、どんどんこちらの感覚を忘れていく死んだ叔父との "花野"。
モテるのが災いして死んだ、壺に生きる女との "クリスマス"。
雪の降る街で、雪の降るときしか一緒に暮らせない男女の "春立つ"。
どれも切なくて、読んだ後もじわじわと心の中に余韻が残ります。
川上さんの文章はいかにも感動とかいう感じでもないけど
(たまにふざけるし)
押さえつけて外に出さないからこそ滲み出てくる主人公たちの感情たちが
こころに大きく染み込んでなかなか消えてくれないので
できるだけ時間のある夜にゆっくり読むのがオススメです。
読んだ後しばらくは本の中から抜け出せないけど、
生ぬるいお湯に浸かってゆらゆらしているような
もうちょっと居たいような感覚になって、またページを繰ってしまう今夜なのでした。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
online shop はこちら▼
神様 / 川上弘美 : sorry..., coming soon! (20日入荷予定)
recommender profile
APT # 207
横浜・反町にある古本とつくり手の見える小さな雑貨屋。
"丁寧に作られたと自分が思うものを、大事に思ってくださる方のもとへお届けする"のがコンセプト。
食べることが好き。